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死別を経験した人はみんな同じではありません  グリーフケアの実際

    
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死別を経験した人はみんな同じではありません  グリーフケアの実際

グリーフケアをして関わる時に、

悲しんでいる人に対して自分の経験や知識だけで、決めつけてアドバイスしたり、

他人も自分と同じだと決めつけないようにしましょう。

大切な人を亡くした体験があるからといって、

他人の気持ちがわかるわけではありません。

それを頭に入れながら、グリーフケアの実際を学んでいきましょう。

グリーフケアの実践

グリーフケアって何?

グリーフケアとは、

「重要な他者を喪失した人、あるいはこれから喪失する人に対し、

喪失から回復するための喪(悲哀)の過程を促進し、

喪失により様々な問題を軽減するために行われる援助」

という操作的な定義が示されているが必ずしも定まってはいません

また、グリーフケアとは死別体験者の援助を表す言葉として、

日本では今のところグリーフケア、

遺族ケア、

死別ケアといった用語がつかわれているが

必ずしも明確に区別して使い分けられているわけではなく、

同義的に用いられています。

つまり、グリーフケアとは喪失を経験した人の援助であり、

グリーフワーク(喪の作業)が自然に進む事をサポートしていくもの、

という認識ができます

アメリカのグリーフケア

アメリカのホスピスでは

患者の死後最低1年間は遺族に対するケアを義務づけ、

それを行わないとホスピスという名称を使うことはできない、とされています。

 

また、欧米では、病院設立の条件として、

病院付きの宗教者によるケアの存在が問わます。

 

宮林ら(2012)が訪れたミネソタの病院では病棟には牧師が駐在しており、

外来部門にはグリーフケア部門ソーシャルワーカー、

心理士、訪問看護師、ボランティアからなるグリーフケアが機能していたと

書かれています。

(文献は文末に。後で参考にしてください)

 

また、アメリカの民間医療保険会社や老人対象の公的医療保険等、

死後1年間に限り、グリーフケアには一定の給付が認められています。

(宮林ら,2012)。

日本のグリーフケア

日本では、埼玉医科大学では「家族外来」「遺族外来」

を精神腫瘍科外来に設立しています。

 

当初はがん患者の家族の力になる試みで始めていましたが

遺族にも広げていったそうです。

 

現在、日本のホスピスにおいても

遺族ケアプログラムを実施している施設は多くあります。

 

グリーフケアの大事な視点

 

自分の力で回復しようとする力と心の悲嘆・・・

 

身体に自然治癒力が備わっているように、

こころにも自然に立ち直る力が備わっている

といわれています(河合,2002)。

 

人が何らか病原体に感染すると、

身体はそれを排出しようとするために咳を出し、

内部の病原体を殺そうとして発熱します。

これは身体が自ら恒常性を保とうとする生体の防御機能である、と言えます。

↑自分で自分を治すシステムですね。

 

「悲嘆」とは人が大切な人の死という

耐えがたい喪失を経験した後、

立ち直りまた新たに成長する為のプロセスであると言えます。

 

つまり、

グリーフケアとは人が本来持つ自身により立ち直る力をサポートしていくもの

ということになります。

 

グリーフケアの具体的なものは?

グリーフケアの実際について、具体的にはどのような支援があるのか、

現在日本のホスピスにおいて行われている遺族ケアの実際をみてみましょう。

①悲嘆(悲しみ)に対する情報提供

悲嘆について理解が無い場合、

気持ちの落ち込みや

感情のコントロールが出来ない事などに戸惑いを感じ、

また、周囲の人の不用意な言葉や態度、

励ましで傷ついてしまう事もあります。

 

→簡単に、「わたしも同じだから気持ちわかる~」なんて言わないように

注意しましょう。

死別を経験した人はみんな同じではありません。

 

そこで、遺族や身近な人々が悲嘆についての基本的な知識をもち、

対処していくための助けとして、

悲嘆反応等の情報提供を行うことが大切です

 

ホスピスでは「大切な人を亡くす時」というような小冊子を作成し、

遺族に配布している施設があります。

悲嘆に関する基本的な説明や、

地域の自助グループの紹介や参考図書の紹介などをしています(寺崎,2010)。

 

河合千恵子氏の研究によると配偶者と死別した中高年男女を対象に、

悲嘆の心理やその対処技術を学習してもらうことを目的とし、

8回の連続講座を開催した結果、受講者の70%が精神的健康の改善を示した。

という調査結果もあります。

 

 

このような悲しみの知識は、

いざ自分が死別した際、

自分の心と身体に何が起こっているのかについての理解を助け、

 

また家族や友人が死別した際にも、

彼らの気持ちをしっかり受け止めることでサポートできるように役立ちます。

 

②遺族への手紙の送付

ホスピス病棟では、遺族への手紙の送付は主に看護師が担当し、

死別後3カ月、12カ月に送付している施設が多いです。

 

③遺族を招いての追悼会

(家族会、遺族会等)の実施。

死別後6カ月から12カ月後位に病院内で開催している施設が多い。

参加状況は平均30%程度と言われています。

 

ホスピスでの自助グループ(家族会)もあります

これは、遺族が自主的に運営する家族の会の活動です。

 

同じストレスに満ちた経験を共有した人たちほど

すぐに連帯感を感じるものはいない

 

と言われるように

死別を体験した者同士の相互援助グループの意義は大きいです

 

 

しかし、ここで大切なのは、上記でも述べてるように、

 

私も同じ!ではない、ということです。

 

 

悲しみの共有はできますが、

皆さんの悲しみが、他の人と、全く同じだと思わないでください。

 

 

誰一人として同じ悲しみはありません。

 

大切な人を亡くした経験があるからといって、

他人の気持ちがわかるわけでもありません。

 

 

グリーフケアをして関わる時には、この点に注意してください。

不用意な言葉が、遺族をかえって傷つけてしまうことがあります。

 

引用参考文献

宮林幸江(2012.『はじめて学ぶグリーフケア』,関本昭治,株式会社日本看護協会出版会

河合千恵子(2002).「配偶者と死別した中高年者の悲嘆とそのケア」『生活教育』.46(2) pp.13-17.

 

では次回は

病院で行われている支援とは別に、葬儀による悲しみのケアを書いていきます。

 

誰かの参考になれば幸いです。

 

ここまで読んで頂きありがとうございました。

 

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