グリーフケア:死別の悲しみによりそうケア 悲しみと喪失の影響
死別の悲しみが病気につながるメカニズム 悲嘆(悲しみ)編
人は生きていれば必ず死が訪れます。
そして、人生の中で時に愛する人の死に直面します。
このような死別体験は、言うまでもなく様々な悲嘆(悲しみ)の症状を引き起こしますが、
それは人間として“正常な”反応といえます。
しかし、場合によっては精神疾患や身体疾患の罹患率を高めることもあります。
超高齢社会、多死社会を迎えた日本では毎年100万人を上回る数の人が死を迎えています。
個々に死を悲しむ方、死別の苦しみに苦しむ人達が存在しています。
ここでは、看護をする中で「死」と
向き合えない家族や当事者の悲しみに寄り添うケアを
臨床の看護師さんに少しでも役立てるように書いみたいと思います。
「死別の悲しみが病気につながるメカニズム」
死別の悲しみが正常な反応ならば、なぜグリーフケアが必要なのでしょうか。
体は常にバランスを保ちながら生きています。
そして、生体の恒常性をホメオスターシスといいますが、
生体にストレスという外力が加わると、
ホメオスターシスにゆがみが生じてしまいます。
愛する人との死別のようにストレスの強度が臨界状態のとき、
交感神経や副腎皮質系がこれを元の状態に戻し、
臨界点以下になるとホメオスターシスが保たれずに疾患になることもあります。
つまり親しい人の死、愛する人の死という強度のストレス体験が生体機能に影響を与え、
恒常性の乱れを生み出し疾患を発症するリスクとなる、と言えます。
そして、それは健康障害の要因、疾病のリスク要因となります。
悲しみの反応の程度が強く、そして長くなってしまうことを「複雑性悲嘆」といいます。
「喪失LOSS」について
また、人が『愛する人の死に直面する』と言う事は、
今までの自身のアイデンティティ(自分とは~である。)
を新しく作り、 新たな視野を持ち人生を歩きだしていく必要性に迫られるということです。
人は変化を経験するごとに「喪失」を経験すると言われ、
以前の状態には決して戻れないということを少しずつ認識していく必要があります。
変化というものに喪失はついてきますし、人生には悲しみがつきものですが、
それに遭遇するとやはり辛いですよね。
それでは次に、 悲嘆(悲しみ)のプロセスからどのように人は回復していくと言われているのか、
を書いていきます。
3.死別後、悲しみの感情は1日のうちに何度も変化する。段階説ではない悲嘆(悲しみ)の回復過程
ここまで読んでくださりありがとうございました。
少しでも悲しみに苦しむ方の力になれたら幸いです。